2017年1月16日月曜日

Pitts S-2S 整備作業 4


おはようございます。今日も引き続き作業に行って参ります。




雨が降ったので、格納庫の前は海(池)になりました。




CA州の水不足は解消したそうです。よかったです。




方向舵を除いて尾翼の羽布は貼り終えました。今日からエンジン部分の作業に移ります。背面飛行設備のオイルラインのラバーホースをAeroquip 601へアップグレードします。




いろいろと試しましたが、今の段階では正確な長さを判断できませんでした。急ぐ必要はありません。エンジンの取り付け後に、長さを計って作成します。




燃料噴射ノズルの清掃と検査です。相変わらず巡航中の各シリンダーのEGT(排気温度)に差があります。特に詰まりも見られませんが、なぜでしょう?






配管も分配器にも問題はありません。もし改善が見られなければ、来年はGAMIjectorを試してみましょうか。

GAMIjectors http://www.gami.com/gamijectors/gamijectors.php




一休み。




ファイヤーウォール周りの作業も終了です。気になっていた箇所を改善できました。




エンジンのバッフル(冷却風の整流板)も作り直します。




通常、側面のバッフルは各シリンダー毎に分かれているものですが、今回は試しに一枚で作ってみます。




電動シアーの出番です。




カバーの切り欠き部分は成形に時間がかかります。根気が要る作業です。




Good!




次は右側です。




今日の作業のお供。




おいしい。




こちらも上手くできました。




尾部の着陸脚は交換することにしました。尾輪は直径4inから一般的な6inに変更して地上移動を簡易化、尾脚は円筒形のラウンドチューブからフラットバーに変更して信頼性を向上させます。




少し調整が必要です。新たに穴を開けます。




Pitts S-2B/Cではリーフスプリングを3枚重ねて三点着陸時の荷重に対応させていますが、軽量化も考えたいところ。私が行うのは接線着陸が主となることでしょうし、まずは1枚で様子を見ます。




尾脚を保持できそうな部品を格納庫で見つけました。使えそうです。


今週は曲技飛行訓練に複数の方がいらっしゃるので、久しぶりに教官業務に駆り出されます。行って参ります。

2017年1月1日日曜日

あけましておめでとうございます




新年おめでとうございます。
昨年は何かと皆様のお世話になり、心より感謝申し上げます。
本年も何卒よろしくお願いいたします。

高木雄一
2017年 元旦




2017年1月1日 朝




年末年始には曲技飛行仲間の高野円さんが訓練にいらっしゃいました。
高野さんはIntermediate Categoryへのステップアップを考えている様子です。応援しています!






今年も安全第一で参ります。皆さまとお会いできることを楽しみにしております。

2016年12月24日土曜日

Pitts S-2S 整備作業 3


エンジンの取り外し作業を開始します。




ターボチャージャー(過給機)なし、インタークーラーなし、冷房用コンプレッサーなし、真空ポンプなし、曲技飛行機に搭載されているエンジンは簡素ですが、取り付け時には少なからず悩みが出ます。取り外し前に可能な限りの写真を撮影します。




エキゾーストパイプ(排気管)に取り付けられた スモークオイル(発煙用オイル)のノズル。スモークオイルの燃焼効率(発煙効率)はとても高い次元で仕上がりました。研究を重ねたノズル形状は極秘です。




チェリーピッカー(エンジンホイスト)を取り付けて、エンジンを支えます。




エンジンのマウントボルト・ナットを外します。




上側も外れました。慎重に、慎重に。




機種によっては、マグネト(点火用磁石発電機)を外さないと、エンジンマウントを通らないこともあります。その点、簡素な曲技飛行機は作業が比較的楽です。




外れました。




台に乗せて、エンジン部分の作業を行います。今年こそは、バッフル(冷却空気の整流板)も手を加えたいものですが、時間はあるのでしょうか。




相変わらずEGT(排気温度)に差があるので、燃料系統は念入りに確認したいと思います。




ファイヤーウォール(防火壁)。ここは交換して、ここは改良して・・・。




許容範囲内ですが、エンジンマウントは修理を依頼します。




溶接作業から戻った水平安定板を仮付け。




来年はタンブル系が易しくなるはずです。




塗装の下準備を。




エポキシ系塗料で塗装。完全硬化まで1週間待ちます。




待っている間にスモークシステムの整備を行います。4-minute FreestyleやAir Showで飛行する飛行機では、飛行の完成度を左右する重要なシステムです。




スモークオイルタンク内部のフロップチューブ(おもり付きのチューブ)。曲技飛行中は常にタンク内部で振り回されている部品ですが、異常はありません。




スモークオイルのポンプは内部で錆が見られました。スモークオイルに水分でも入り込んでいたのでしょうか。これまではあまり必要性を感じませんでしたが、スモークオイル系統も燃料系統と同様に、水抜きを考えた方がいいのかもしれません。


尾翼の羽布の作業に加え、他にも改善を要する部分が多く出てきます。2月末、遅くても3月初旬には試験飛行ができるよう進めます。

2016年12月18日日曜日

Q and A 可変ピッチプロペラについて

Q. アクロバット用の飛行機には可変ピッチプロペラが取り付けられているようですが、その理由は何ですか?






A. 航空機に取り付けられるプロペラは、固定ピッチプロペラと可変ピッチプロペラの2つに大きく分けられます。言葉の示す通り、プロペラのピッチ(プロペラハブに対するプロペラブレードの取り付け角)が変更できない固定式のものと、ピッチを変更できる可変式のものの2つです。




木製の固定ピッチプロペラを装備したPiper J-3 Cub。



曲技飛行機でも、7ECA 「Citabria(シタブリア)」やPitts S-1系など、固定ピッチプロペラが取り付けられた機種は多く見られます。そして、一般的に180HPから200HPを超える高出力の飛行機、例えばCessna 182やPiper Saratoga、Beechcraft Bonanzaなどでは可変ピッチプロペラが取り付けられていますが、これらはプロペラのピッチが自動的に変化し、設定したプロペラ回転速度を自動的に保つ「定速プロペラ(または恒速プロペラ)」です。




今年のUS National Aerobatic Championships(全米曲技飛行選手権)のコンテストディレクタ―を務めたギャリーさんと、彼の愛機Pitts S-1S。固定ピッチプロペラを装備しています。



可変ピッチプロペラとは「プロペラのピッチを変更できる」形式のものを指し、これには地上でのみピッチを変更できる「Ground Adjustable Propeller」や、High SpeedとLow Speedの2種類のピッチを選択できる「Two-Speed Propeller」、モ―ターグライダーや多発飛行機に装備される「Featherable Propeller」、遠心力とスプリングの力によって自動的に適正なピッチに変化する「Automatic Propeller(製品名Aeromatic Propeller)」などが含まれます。

定速プロペラは可変ピッチプロペラの進化型です。飛行速度や出力設定に応じて変化するプロペラ回転速度をプロペラガバナが検出し、プロペラガバナはピッチを変更して負荷を調整し、操縦士が任意で設定したプロペラ回転速度を保持するものです。プロペラのピッチを変更できると言うよりも、ピッチは回転速度保持のために自動的に変化すると言うべきでしょう。地上では出力も対気速度も低いため、扱いは固定ピッチプロペラに類似しますが、飛行中は操縦士が任意で設定した回転数を保持する「定速プロペラ」として運用が可能です。




整備中のPitts S-2Sの操縦席。左の青いレバーでプロペラ回転数を調整します。



定速プロペラの構造や操作方法などは教科書などでご理解いただけますが、ではそれぞれ運用上どのような違いがあるのでしょうか。飛行経験のない方にも理解できるよう、自転車を例に説明してみます。

飛行機は「坂道を自在に設定できる乗り物」です。ここで、上り下りの険しい山道を、変速機のない自転車(固定ピッチプロペラ)で走ると考えてみましょう。急な上り坂ではペダルを漕ぐことができずに止まってしまうこともあるでしょうし、また急な下り坂ではペダルの回転が追いつかず、推進力を十分に利用できなくなります。




整備中のPitts S-2S。プロペラハブとプロペラブレードは別部品で、根元部分が回転し角度が変化します。



もし変速機があれば(可変ピッチプロペラ)、ギア比を減らすことで上り坂でもペダルを漕ぎ続けられるでしょうし、また下り坂ではギア比を上げてペダルを漕いで、速度をさらに稼ぐこともできます。さらに、その変速機が自動で無段階に変化すれば(定速プロペラ)、ケイダンス(自転車のペダルの回転数)は自動的に一定に保たれますから、運転者は走ることに集中しながら、身体的な負担を軽減しつつ、効率よく走れることになります。

定速プロペラは確かに便利な装備ですが、固定ピッチプロペラで行う曲技飛行もまた楽しいものです。調べたら、古い動画が出てきました。




〈動画〉 Basic Aerobatics



機種は固定ピッチプロペラ装備のAmerican Champion Aircraft社製の7ECA「Citabria」です。またこのような飛行機で、曲技飛行の原点に戻ってみたいものです。今悩んでいることも、解決できる答えがそこにあるかもしれません。