2015年7月26日日曜日

基本を大切に


今週は日本から大西さんが訓練にいらっしゃいました。10代のころから滑空機にお乗りになり、曲技飛行、スカイダイビング、様々なスカイスポーツに挑戦されていらっしゃったそうです。こちらアメリカでの曲技飛行競技会や、再開が望まれる全日本曲技飛行競技会にも参加したいとのことでした。心より応援します。




T-6の飛行も楽しんでいただけました。
Kenさん、協力ありがとうございます。




操縦桿の位置と迎角の関係
(訂正: 誤ってVsoと書きましたが、Wing FlapsのないPittsを参考したので、正しくはVsでした。)

当然のことながら、飛行機や滑空機は-G側でもStallします。特にHigh Performance Aerobatic機では、+Gと-Gの両方の領域で、安全にSlow FlightやStall、そしてSpinを学ぶことができます。言い換えれば、その領域まで到達する可能性と、安全に飛行を行える性能を持っているということでもあり、飛行士は熟知していなければなりません。

操縦桿の位置と飛行中の迎角は、機体総重量、C.G.位置、推力、対気速度などによって変化しますが、ほぼ一致することを図で示してみました。飛行機は速度が遅いために失速するのではなく、また前触れもなく、ある時突然Stallするということでもありません。Critical Angle of Attackを超えた状況、これがStallであり、飛行士の操縦操作があって起こる現象です。




話題は変わって、PittsやExtraでのEngine Startの方法について。飛行機のEngine Start時の厳守事項は、1. Brakeをかける、2. Throttle LeverやMixture Leverを保持する、3. 外部の安全を確認する、4. 掛け声や合図で\始動を知らせ、安全を再確認する、などです。

尾輪式飛行機ではさらに操縦桿を後方に保持して、Prop Hitを防ぐためにTail Down Forceも確保します。「手が足りない」と言われますが、工夫すればどうということはありません。私はFuel Injection Engineの機体では、Mixture Leverに手を添えて行いますが、上の写真のように、右肘や、小柄な方は右手首付近で操縦桿を保持して、空いた右手でMixture Leverを操作できます。




「Engine Start後は、まず回転数の調整が大切。Mixture LeverではなくThrottle Leverに手を置くべきだ。」という意見も聞かれます。私も賛成です。でも、だからと言ってStick Backをしなくてよい訳ではありません。少し距離が遠くなりますが、ご覧のように、Throttle Leverにも難なく手が届きます。後は、左手で写真左上のIgnition Switchを操作するだけです。




Extraではどうでしょうか。整備中のExtra 300Lにお邪魔して試してみました。




右腕でStick Back、Mixture Leverを右手で操作。できました。




Throttle Leverへも難なく手が届きます。




左右の腕が交差しますが、計器盤の右側にあるIgnition Switchを操作して、「Clear Prop!」




この機体は計器盤の右側にIgnition Switchがありますから、右肘でStick Backすることもいい案です。




この方法なら、左手に余裕があるため、Mixture LeverとThrottle Leverを同時に操作することも難しくありません。



教育の基本の一つに「首尾一貫していること」があります。現在、Cessna 152や172などの前輪式飛行機で技能証明を取得し、その後尾輪式飛行機へ移行訓練を行うことが一般的ですが、Cessnaなどの訓練で「飛行機の基本」として伝えることは、そのまま尾輪式飛行機にも当てはめるべきではないでしょうか。尾輪式飛行機は操作が増えるから、もうすでに初心者ではないから、省略していいということはありません。このBlogを通して、気付いたところを少しずつお伝えしていきます。

2015年7月19日日曜日

2015 ポーランド曲技飛行選手権 2


 時々低い雲が流れてきますが、雨の予報もなく、風も穏やか。今日は忙しくなりそうです。




Solo Foxを搬出する皆さん。酒井さんも見えます。がんばってください。




始まって早々に低い雲が増えてきました。競技中断です。




Cloud Checkに揚るExtra。あと1時間くらいは中断が続きそうです。


仕方がないので、時間つぶしをします。


忙しく飛び回るハチの皆さん。おいしいですか?




マリファナ。たくさん自生していました。




お願い達成!(なめこ栽培キット)




普通の原木が完成です。




何を探しているのだろう・・・? 




ここの砂利は別の場所から運ばれてきたもののようですが・・・。 




・・・5.56mm BTHP?

まれにこのような円錐形の石を見つけることがあります。




「どうだ、すごいのが見つかったぞ!」

褐色のガラスの、まるで銃弾のような形をしています。




なんと、落雷の熱で砂が溶け、ガラス状に固まった石だそうです。初めて知りました。





こんな石がたくさん見つかるとは、ポーランドとは恐ろしいところです。




無事に競技も再開され、競技正立となりました。




そして閉会式です。
Torun飛行場長のヤヌスさん(左)、選手権責任者のユーレック(中)さん。 




Glider部門のUnlimited Categoryの優勝者は昨年度のWGAC優勝者のマチェックさんでした。本当にきれいな飛行でした。おめでとうございます。



Power Aerobaticsとの違いに戸惑い、途中で投げ出してしまったGlider Aerobatics。1週間の滞在中に酒井さんとお話をしていて、私も諦めずに挑戦してみようかと思い始めました。まずは、来年の春にポーランドに訓練に来て、自身の技量と可能性を見極めてみます。

2015年7月15日水曜日

2015 ポーランド曲技飛行選手権 1




7月3日から10日間、ポーランドの曲技飛行国内選手権でGrading Judgeを行ってきました。例年は、PowerとGliderで2箇所で分かれて行われるそうですが、今年は両方の同時開催だそうです。




行き先は去年と同じTorun(トルン、コペルニクスの生誕地です)。古い町並みがとてもきれいです。




宿に荷物を置いたら食事へ。好物のZurek(ズ-レック?ポーランド料理のスープ)おいしいです。




Pierogi(ピエロギ、ポーランド風ギョウザ)、茹でたものと焼いたものの両方があるところもギョウザと同じです。






明日からは選手権ですが、「予定は?」と聞いても「I don't know.」しか返ってきません。宿の手配もできていませんでしたし、これがポーランドなのですね。私も少し慣れてきました。




選手権1日目。風が強く待機中。天気はいいので、散歩に出かけます。




マーカー発見。大きさがバラバラ・・・。足りないところはスプレーで補正すれば大丈夫です。




MDM-1 Foxの単座型、Solo Fox。今回の酒井さんの搭乗機です。




参加者数の関係からか、Power部門はAdvancedのみのようです。こちらはExtra社の最新鋭機、Extra 330SC。

主翼や水平尾翼の翼型、Rudderの平面型など、見慣れたExtra 300Lとはずいぶんと異なります。330HPの最大出力に加え、Aileronの中立位置も判りやすく、Aileron RollやSnap Rollなどが楽に行え、そして瞬時に停止できるそうです。

世界チャンピオン生産機としての性能は素晴らしいと思いますが、これがスポーツでしょうか?・・・と、疑問に思いつつ、私のS-2Sも新たなプロペラに交換する予定です。推力向上が楽しみ。




今年もこのバスが移動に活躍します。運転手はChief Judgeのマチェックさん。




西側のJudge Lineに移動。椅子の向きも調整して準備完了です。




曳航機のYAKとSolo Fox






開発中の競技機のBox内の位置を記録するシステムの試験が行われていました。Boundary Judgeを省略できますが、まだ信頼性と価格が問題のようです。




選手権はのんびりと時間をかけて行われます。ただ今、シャボン玉大会開催中。






参加したい・・・




IACではAssistant JudgeがSequenceを読み上げ、Recorderが記録を行う3人体制で行われますが、世界選手権ではAssistantは記録係を兼ね、Judgeが1人でSequenceの確認とJudgingを行います。そのような伝統があるためか、ポーランドの国内選手権も同様の2人体制です。工夫次第なのでしょうが、Gliderはともかく、Powerの飛行を1人で採点を行うのは大変です。




次はGlider部門の競技飛行です。しかし、雨は降ったり止んだり。きれいな虹は撮影できました。




Power AdvancedはKnown、Free、Unknownの3回を飛行でき、これで完了となりました。しかし、GliderはUnlimitedとAdvancedのどちらもKnownだけです。あと2日でどうなるのだろう・・・。部外者の私が不安になっていますが、気にしないことがポーランド流なのでしょう。

気にしない、気にしない。また明日。

2015年7月5日日曜日

月がきれいです


Iさんの滞在中は私の粗末な手料理が続いていましたが、最終日はピザにチーズのフライ、そしてサラダです。ビールもおいしいです。




そして、次は・・・




Iさんにカキを蒸していただきました。確か、店以外で、アメリカでカキを食べるのは初めてです。とてもおいしかったです。




BGM代わりに、曲技飛行のビデオや飛行機映画を流していました。さて、これは何の映画でしょう?正解の方には私自作の9x19mmを50発進呈します。現地渡しとなりますので、正解者はKing Cityまでどうぞ。




問題は数多くありますが、ぜひ日本での曲技飛行訓練の再開を目指しましょう。微力ながら、私もお手伝いさせて頂きます。